量子力学入門
物質の化学的物理的特性を計算機を用いて予測する手段として、量子化学プログラム利用が挙げられます。
ここでは、量子化学プログラムを利用するに際して、その基盤となっている量子力学の基本的な考え方の概略を紹介します。特に、量子力学を学ぶ際に陥りやすい考えについて述べます。したがって、網羅的な紹介はここではしません。しかし、量子化学プログラム利用に重要な点だけを強調するあまり大事な点を見落としているかもしれません。もっと深く理解したいと思われる方は、以下の文献などを参考にして下さい。しかし、量子力学は世に出て間もない発展途上の学問で完璧な学問ではないことに注意してください。ここでの読者に失礼かもしれませんが、特に強調したいことは世の中で言われていることを鵜呑みにしないことです。あなた方の叡智に期待する部分がこの学問では多々あるのですから。
古典力学は系の状態変化に伴うエネルギー変化が連続であるとの観点から物理的現象を明らかにしていく学問といえます。これに反し、量子力学は、一言でいうと、状態変化に伴うエネルギ−変化を不連続(量子化といっております)、言葉を変えると離散的に捉えることを通して物理的現象を明らかにして行こうという学問です。状態のエネルギー変化を離散的に捉えられるような考えは幾人かの天才によって導入されました。代表的なものを挙げると、Plankの光量子説であり、deBroglieの物質粒子の波動説、Heizenbergの不確定原理、Sommerfeldの作用量積分の断熱不変性、Schrodingerらの波動方程式です。
現代化学は原子のもつ原子軌道、およびそれに属する電子の特性をベースとして構築されています。原子軌道のもつ基本的性質およびそれに属する電子特性は、ほぼ上記の原理、説および方程式を用いて解明されつつあるといえます。したがって、ここではまず、これら知識を再整理してその基本となる考え方を述べます。次に、物質の解明に必要な分子軌道および結晶軌道がどのように導きだされるかを述べます。実際の物性への応用についてはCrystal-parkを参照してください。
Feynman:物理学(量子力学)
岩波書店
1 ドブロイの粒子波動性と波動関数
2 原子軌道の決定(1)-1電子系-
3 原子軌道の決定(2)-多電子系-
4 分子結晶