固体物質は原子から構成されておりますが、固体物質の物理的および化学的性質(物性)は物質中の電子によってきまってきます。
固体物質の性質に影響を与える電子は、大きく2種類の性質の異なる電子に分類できます。一つは、化学結合電子であり、もう一つは伝導電子です。
化学結合電子とは、原子と原子と結び付けるのに寄与する電子です。伝導電子とは、原子に強く束縛されない物質中を比較的自由に動ける電子をいいます。これら2種類の電子が物質のなかで絡み合って相互に影響し合い複雑な性質が現れてくるわけです。しかし、この分類は、あくまで便宜的なもので、現実にはこれら2種類の電子を別々の電子として区別されるわけではありません。
固体物質の性質(物性)についての世の中の説明は、物質内を自由に動ける伝導電子の挙動をもとに物性を推定していくという自由電子論(一電子近似理論)を基盤にしております。原子価電子から物質中の電子が作られるという前提の上で物性を推定していくという原子価電子結合理論(分子軌道法また原子価結合法を用いる二電子近似理論)は、現在のところ大きく取り扱われてはおりません。
その理由は、伝導電子の挙動がこの理論から導きだせないからです。
しかし、自由電子論も万能の理論というわけではありません。自由電子論では、伝導電子を物質の構成元素から作られるという形ではみておりません。どちらかというと、この理論では、伝導電子を物質構成因子(構成原子および組成比)と異なる組成因子(例えば結晶型など)によってその挙動を捉えております。これは、構成元素の関連のもとで物性を明らかにしていく場合には、この理論は使えないことを意味します。たとえば、銅の電気伝導度はアルミニウムのそれと異なります。なぜ異なるのかについては構成原子固有の性質を取り込むことなしで説明できません。物をつくるという観点から見た場合、もの作りのための理論的根拠の少なさに驚きます。上記問題の自由電子論からの理論的解決は多くの研究者によって取り組まれておりますが、かれらの方法に共通して言える欠点は、伝導電子と化学結合電子とは実験的に分離することが困難であるにもかかわらず、理論的に分離可能として扱っている点です。伝導電子は化学結合電子からうまれてくるかもしれません。すくなくともその可能性は否定できません。伝導電子と化学結合電子の不可分性が物性の解明をむずかしくしている根本原因のひとつにあげられます。
小生は、原子価電子結合理論の拡張を図り、なぜ伝導電子と化学結合電子とは不可分であるのかついて、その理由を導きだしました。この詳細は本文でのべます。拡張とは、特別な操作を導入するわけではありません。原子価電子はマイナスの電荷をもち、原子核の周りを回転しております。原子の多くは電子を放出しやすい。これらの物理的特性から化学結合および伝導電子を定義し直して見ただけです。これら物理的特性から伝導電子発生機構を推定することは容易です。
Crystal
Parkはこの拡張原子価電子結合をもとに述べます。
機能材料開発はむずかしい仕事とされております。しかし、この難しさのほとんどは、物質の原子配置構造と電子構造との間を結び付けるインターフェースの不明さによってもたらされたものです。
本ホームページは、この不明を拡張原子価電子結合を用いて出来る限り取り除くということに力点をおきました。
材料構成原子からみた物性の見方を提供するという趣旨でのべてみますと、自由電子論をベースとした観点からの見方(物質というシステムからの見方)と異なるので、どうしても物性の解釈が違ってきます。問題点はできる限り明快にのべるつもりでおります。
しかし、ここで述べる見方は、その趣旨に反し、その逆で理解されるにはかなりの抵抗をともなうかもしれません(いや、むしろ、ないほうがおかしい)。敢えて載せたのは、多分、これらがインターフェースの不明さをもたらすものと思われるからです。また、物理的現象はすべてエネルギー収支のバランスの上で成り立っています。ここで述べる見方は、理解してもらえると信じております。
固体物性として取り扱える分野は広大で小生はほんの一部(富士山の一粒の砂より小さいちり)しか知らないということです。不明な点はすべて小生の無知蒙昧さからくるものです。できるだけ物質の物性評価および創製に役立ててほしい意気込みだけで本ホームページ作りに取り組みました。本ページをよりよいものするため、皆さんの暖かいご支援を期待します。こうした方がより分かりやすいとか、誤りなどはご指摘くだされば感謝します。
新規機能材料をつくるチャンスに恵まれたとき、その効率よいもの作りが問題となります。これまでの自由電子論だけでは材料作りに不十分であることはだれもが感じていることで、本ページがそのお役にたてるかもしれません。