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1.3.1.1共鳴電子移動に基づく化学結合
 

水が高いところから低いところへ流れるように、電子もまたエネルギーの高いところから低いところへ流れます。 電子のいるところのエネルギーはどのように決められているのでしょう。 原子の場合には原子価電子は原子軌道上にあります。 その軌道上に電子が安定して留まれる状態は、エネルギー的観点から見ると、エネルギー準位の低い軌道上に電子がいることを示しています。エネルギー準位の高い軌道から低い軌道へ電子は流れます(これを転移といいます)。 分子および結晶についても、原子軌道と同様に電子が留まる分子軌道および結晶軌道というものが想定でき、これら軌道上での電子配置の安定性は上でのべたエネルギー準位で判断されます。 これらの軌道についてはあとで詳しくのべます。

電子は高いエネルギー準位のところから低い準位のところにながれます。逆に、低い準位にいる電子をより高い準位に上げるには高い山をこえるだけのエネルギーが必要です。高い山を超えるだけのエネルギーを電子に与えるには二つの方法があります。一つは山を超えるに充分なエネルギーを熱または光などで直接電子に与えてやることです。もう一つは、電子がマイナス電荷をもつという特性を利用して、電界をかけてやる(プラス電極をもってくる)ことです。電子のいる場所は原子軌道、分子軌道および結晶軌道で表現されます。これら軌道をもとに電子移動を以下でのべます。

電子移動とエネルギー準位
  



原子オーダーでの電子移動を如何に解釈するかについて、クドクドとのべてきました。 じつは、この電子移動の新しい考え方こそ固体物性を固体構成原子からのべる際のキーとなるものだからです。 固体物性の説明は格段に容易となります。各固体物性については各論でのべます。 ここでは、化学結合についてのべます。電子移動は原子原子間結合に寄与します。 電子を受け取る軌道および受け取り電子の電磁相互作用による安定化の差が、金属結合、共有結合、イオン結合および錯体結合などの差を生み出すと解釈すると、化学結合は以下の表に示すように、物理的な対応がとれ、わかり易くなります。
 

金属結合 リチウムおよびベリリウムなどの金属原子は原子価電子としてs軌道電子をもちます。電子の受け取る軌道は、先にのべた説明によれば軌道であり、これら軌道上の電子を安定化させるのは未占有軌道から占有軌道への電子転移以外にありません。遷移金属原子同士の結合については次の電磁相互作用でのべます。   
共鳴電子移動結合
共有結合 炭素などは電子を受け取る正電荷特性の強い未占有軌道を持ちます。このときこの未占有軌道に入る電子は、原子外部からの軌道に入る電子と電子です。これら二つの軌道の間で電磁気的相互作用が取り易い(原子価電子をもつ軌道とは位相があっていない)。これが結合力の強い大きな軌道間の重なりを作ります。これが混成軌道を作ります   
電磁相互作用結合
イオン結合 酸素およびフッ素は軌道を持ちます。また、この原子の未占有軌道は軌道です。ただし、酸素およびフッ素に入る電子は、占有軌道と電磁気的相互作用をしますので、これら酸素および弗素のs軌道は相互作用しません。   
原子内電磁相互作用をもつ共鳴電子移動結合
 

 
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